Z世代マーケティング
企業が思う「若者向け」は、だいたい若者向けじゃない
若者に寄せようとした瞬間、 その発信は若者から遠ざかっているかもしれない。 必要なのは「若者っぽさ」ではなく、「若者の感覚」です。

CATEGORY
Z世代マーケティング
DATE
2026.08
OVERVIEW
概要
企業の採用やマーケティングを見ていると、よく目にする言葉があります。 「若者向けにデザインしました」 「Z世代を意識したSNS運用です」 「若い人に刺さる表現にしています」 でも、実際に20代の自分たちがそれを見ると、 「これ、誰が若者向けだと決めたんだろう?」 と思うことが少なくありません。 カラフルなデザイン。 流行している言葉。 TikTokっぽい縦型動画。 若いモデルを起用した広告。 もちろん、それ自体が悪いわけではありません。 ただ、それらを使えば「若者向け」になるわけでもない。 むしろ企業が頑張って若者に寄せれば寄せるほど、若者側にはその「頑張っている感じ」が伝わってしまうことがあります。 【若者は「若者っぽくされたもの」に敏感】 企業が考える若者向けは、どうしても表面的になりがちです。 例えば採用サイトを若者向けにしようとして、 「社員同士、マジで仲良し!」 「仕事も遊びも全力!」 「最高の仲間と働こう!」 といったコピーを並べる。 企業側としては、堅苦しさをなくして親しみやすくしたつもりかもしれません。 でも若者からすると、 「本当に社員がこう思っているのかな」 「会社から言わされていそう」 「無理に若者っぽくしているな」 と感じてしまうことがあります。 若者に刺さるかどうかは、言葉遣いが若いかではありません。 その言葉にリアリティがあるか。 ここをかなり見ています。 【TikTokをやれば若者に届く、ではない】 これはSNSでも同じです。 「若者はTikTokを見る」 「若者はInstagramを使う」 この情報だけを切り取って、 「じゃあ会社もTikTokを始めよう」 となる企業は多い。 でも大事なのは、TikTokを使うことではありません。 TikTokの中で、若者が何を面白いと思い、何を飛ばしているのかを理解することです。 テレビCMのような完成された企業PR動画を、そのまま縦型にして投稿しても、若者からすれば広告にしか見えません。 一方で、 社員同士の何気ない会話だったり、 入社1年目の社員が話す仕事の本音だったり、 普段のオフィスの空気感だったり。 企業側からすると「こんなものを出して大丈夫?」と思うくらい普通のコンテンツの方が、若者には刺さることがあります。 なぜなら、知りたいのは企業が見せたい姿ではなく、 「実際、この会社ってどんな感じなの?」 というリアルだからです。 【若者は「完成された正解」より「本音」を見ている】 これは商品でも採用でも同じだと思っています。 企業はどうしても、良い部分をきれいに整えて発信したくなります。 「働きやすい会社です」 「成長できる環境です」 「風通しの良い職場です」 でも、この言葉は多くの会社が使っています。 若者側からすると、ほとんど違いが分かりません。 それよりも、 「入社1年目はここが大変だった」 「正直、忙しい時期もある」 「うちの会社にはこういう人は合わない」 といった情報の方が、会社の輪郭が見える。 完璧だから信頼するのではなく、 良い部分も悪い部分も見えるから信頼できる。 今の若者には、そんな感覚があります。 【「若者向け」をつくる前に、若者を見る】 自分たちはZ世代だけで構成された会社なので、企業から 「若者向けにしたい」 という相談を受けることがあります。 そのときに感じるのは、 若者向けの広告をつくる前に、 若者向けの採用サイトをつくる前に、 若者向けのSNSを始める前に、 まず若者が普段何を見て、何に違和感を持っているのかを知る必要がある ということです。 若者向けの正解は、ピンクでも、TikTokでも、流行語でもありません。 若者の生活の中に自然に入れるか。 企業側の一方的な発信になっていないか。 見た瞬間に「広告だ」と距離を置かれていないか。 そうした感覚の方が、はるかに重要です。 【若者になろうとしなくていい】 企業が無理に若者になる必要はありません。 50年続いている会社なら、その歴史を隠す必要もない。 真面目な会社なら、無理にふざける必要もない。 堅い業界なら、無理に流行語を使う必要もない。 大切なのは、自分たちの良さを変えることではなく、 若者から見たときに、その良さがどう映るのかを考えること。 企業が思う「若者向け」と、若者が実際に求めているもの。 この2つの間には、想像以上にズレがあります。 だからこそ、 「どうすれば若者っぽくできるか」 ではなく、 「若者には、今の自分たちがどう見えているのか」 から考える。 若者向けのマーケティングは、そこから始まると思っています。
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